見事な曇天である。
空いたワインの瓶が3本と、ビールの缶が佇むキッチンには、宴の形跡が残る。
思いがけず友人家族の来訪があった昨夜、遅くまでハシャいだ。もともと酒量の少なくない彼は、いつにもまして飲んだ。
故あって付き合えない私に代わり、家人はいくらか飲んでいたが、それを含めても8人のうち2人が飲んでいたばかりである。それでもあれは、まさに酒宴であった。何より証拠に、飲んでもいない「昨日の酒」が残っているような気がする。
実のところ、ただの夜ふかし疲れなのかも知れないが、こんな朝は、あまり煌々と朝日に騒いでもらいたくない。 非の打ちどころが無い、曇天。 もはや「涼しい」という和みの言葉が似つかわしくない。そう言えば、虫たちも鳴くのを止めている、いつの間にか。 家電、土地、リフォーム、自動車、旅行…誰が決めたのか、土曜の折り込みチラシは、やたらと高いものばかりだと決まっているようだ。「売れるといいね」…まとめて隅に投げやる。 はき出しの窓を開け、風を入れる。いっそう寒く感じるかと思えば、不思議とそうでもない。 よく聞けば、葉ずれの音が割り込む。 高く、角のある音は要らないから、ボッケリーニのチェロソナタ…どれでもいい、というかよく知らない。 点けたばかりのテレビに、5分ともたず倦み、新聞を広げる…いや待てよ、さっきこの見出し読んだぞ。バシャバシャと乱暴に折り畳まれ、チラシの束と一緒に放り出される、罪も無い新聞。ウチに配られた己の不運を呪え。 このまま守勢に徹したのでは、一日の出ばなをくじかれる。反撃を仕掛けるべく、パジャマの上をボタンも外さず脱ぎ、上半身を吹き入る風にさらす。 「よしっ」と、ことさらに胸を張って、右手で左の上腕をこする、鳥肌をかき消すように。 一気呵成に反転攻勢…テーブルの上に置いてあったホットサンドにかぶりつく。 …こいつはどうやら、「もとホットサンド」であったらしい。 ここで怯んでは、世の中から置いてけぼりになる。 今度は胸や腹をこすり、大きく肩を回しながら次なる戦線へと向かう。
いざ、歯磨き洗顔!!
上体は依然、日々弛みゆく裸身のままである。


by RAM
原発に関すること(現時点での…