昨日書いたエントリ、「中国産食品は危険だ…という誤解」に対して、メールを頂きました。「概要説明だけ…」という条件で改めてエントリを上げる旨ご了解を頂きましたので、ちょっと書いてみます。
頂いたメールの趣旨を極簡単に書くと、①「相対的にも絶対的にも中国産食品の違反件数が少ないとは思えない」、②「あれだけ騒がれながらも依然としてこれだけの『毒』や『菌』が出てくるのか、結局管理が甘いのではないか」、③「やはり中国産の安さに勝てない、企業の思惑であえて危険なものを持ち込んでいるのではないか」と、だいたいこういったところでしょうか。
まず①についてですが、「絶対的」な評価については見解の違いとしか言いようが無いでしょう。私はやはり、届け出件数にして1万件中に5件、重量にして1万kg中に22kgの違反品があることを絶対値として多いとは思えません。相対値については、前回エントリの表が全てです。客観的なデータとして、「少なくない」と言ったらウソになります。
次に②についてですが、「毒」というのは農薬や動物性医薬品のこと、「菌」というのは一般生菌や大腸菌のことをおっしゃっているようです。「これだけの」という記述については、資料を添付して頂いたのですが、中国産食品の違反事例が列挙されています。多分、元資料はこれではないでしょうか。
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/ihan/index.html
各月横の括弧内、xslの部分をクリックすると、毎月の違反事例統計を見ることが出来ます(これを見ると余計に中国産がことさら多いとは思えなくなるのですが)。
例えば、8月の統計を開いて、一覧表の上から2番目に「ビフェントリン」という農薬の違反事例があります。きくらげとビフェントリンの組み合わせ、この残留基準値は0.01ppmですから、表にあるとおり0.03ppm検出されればこれは違反品扱いになります。
ではこの基準値0.01ppmはどうやって決まるのでしょう。
ヒトが生涯にわたって毎日食べ続けても安全な量のことを、ADIと呼びます。これは、ラット実験などによって毒性の無い値を確認し、さらに不確実係数として0.01を乗じた値です。
このADIを、「マーケットバスケット方式」と呼ばれる考え方に基づいて数値化し直したものが基準値となります。
「マーケットバスケット」は、要するに買い物かごのことです。つまり、その食品がどの程度の頻度で買い物かごに入るか(どの程度の頻度で食卓に上がるか)を「何となく評価」し、基準値を設定していくのです。
クロルピリフォスという比較的有名な農薬がありますが、ほうれん草に対する基準値は0.01ppmです。一方で、対象の野菜が小松菜だと、2.00ppmです。フツーの日本人は、小松菜を一回食べる間にほうれん草を200回食べるだろう…と誰かが「何となく評価」した結果、この差が生まれます。
さて、ここで主観を挟むことは自重しますが、上で例にとった違反事例、ビフェントリン0.03ppmの残留を「毒」と言うでしょうか。
最後に③についてですが、確かに中国の人件費は競争力があると言っていいでしょう。ただ、中国産食品の中でも違反事例の件数が比較的多い冷凍野菜を例にとって言えば、ベトナムやインドネシアだって中国に負けないぐらい人件費のメリットはあります。また、アメリカやニュージーランドの農業~農産物加工業なんて、なかば装置産業と言ってもよいほど機械化されており、モノによっては中国産より安価なものも少なくありません。では何故、それでも中国産が多く輸入されるのか、その第一の理由は、品質が良いからです。もちろん、残留農薬の問題も含めて、夾雑物除去の精度など、他の国では全く対抗出来ないほどの技術を持っています。中国から食品が多く輸入される理由は、その価格的メリットも無いとは言いませんが、それが最大のメリットとも言い切れないのが実態です。
以上、繰り返しますが私は別に、ことさらに中国産食品を擁護するつもりはありません(そんなことをしても一文の得にもなりません)。ただ、現実を直視した上で、批判すべき点を批判しないと(或いは単なる毛嫌いはそれでいいと思いますが、はっきりそう言うべき)、あまりフェアーでないが故に、逆に説得力を失う結果になりかねないと懸念するのです。


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by Bero
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